【雑言】ACCA原画展@ササユリカフェに行ってきました。

お久しぶりです。

 

といっても、これまでに投稿した記事の数からすると、読者諸賢と、久しぶりといえるほどの関係を築けているかどうかは限りなく疑問ではありますが。

 

かっちりした記事を書こうと思うと、記事にするまでのハードルが不用意に上がってしまう感じがするので(実際、それがもとで133日も更新が滞っていたわけですし)、すこし気を楽にして、やわらかい記事を書いてみようと思います。

 

みなさま、現在*1ササユリカフェにて行われている、ACCA原画展は御存知でいらっしゃいますでしょうか。作画をキーワードにしている、こんな末節のブログを閲覧しにくるような諸賢におかれましては、おそらく既に御存知でいらっしゃることと思います。

 

私見ではありますが、かつて2015年において、作画アニメ*2として煌々とその名を刻んだ、「ワンパンマン」を生んだ夏目真吾氏*3が監督をし、同作において辣腕を振るった久貝典史氏、榎戸駿氏のような実力派がメインスタッフとして名を連ねた「ACCA」という作品は、「ワンパンマン」同様、演出的見どころもさることながら*4、作画的見どころに富んだ作品となりました。そんな「ACCA」の原画展が行われる、それもあのササユリカフェ*5で行われるとあっては、作画ファンを自称する私としては行かずにはいられません。

 

と、前置きが長くなってしまいました。

 

本日ようやく、ACCA原画展に行くことができました。

名うてのアニメーターがこぞって参加していた同作は、非常に見応えのあるカットが多く、今回展示されていた原画コピーもどれもこれもがすばらしく、一枚一枚の原画の出来栄え、また、そうした原画を直線的時間のもとに連続させたときの動きの快感のすさまじさに、私は文字通り息を呑むばかりでした。

 

本当ならば、それら原画のひとつひとつに細かく感想を付けていきたいところではあるのですが、紙幅と、それから私自身の作画的知識の不足とを鑑みて、私の好む幾人かのアニメーターを取り上げることによって、原画展全体の紹介に代えさせて頂きたいと思います。

 

 

一、村上泉氏のED原画

 

本原画展の目玉はなんであったかと問われれば、私は迷うことなく、「村上泉氏のED原画であった」と答えることでしょう。あのED原画は、そのくらい筆舌に尽くしがたい出来栄えでありました。

 

同EDは、放映当時から注目されていたように記憶していますが、今回原画という形で見てみますと、仕上げや撮影処理といった、作画を味わうための雑味*6が省かれ、原画としての味わいがより先鋭化されていたように思います。

金田・大平的な「人体をエフェクトとして描く」というダイナミズムを満々と湛えた原画は、一連なりのアニメーションになったとき、予想もつかないほどの想像力のはばたきを感じさせます。また、たんに一枚一枚の絵として見た場合にも、非常に月並な表現ではありますが、それこそ一幅の絵画の如き豊かさを備えています。

 

私個人としては、このED原画が見られたというだけで、この展示に来た意味があったとさえ感じました。

 

二、第7話、坂詰嵩仁氏のカット*7

 

放映当時、個人的に好みだったカットです。見た瞬間から坂詰氏の仕事であると直感致しましたが、例え氏の仕事でなかったとしても、ロッタ・オータスという少女の爛漫な挙措、思わずこちらまで笑みをこぼしてしまいそうになるほどの多幸感を活写した同カットは、第7話を代表する見どころのひとつでしょう。

個人的に注目したのは、同カットにおけるロッタ・オータス女史の髪のなびき方です。これはいまだに感覚的な次元でしか語れないのですが、髪のフォロースルーの入れ方というのは、アニメーターの個性がおおきく出るポイントのひとつのように思えます*8

 

三、第1話、澤田英彦氏のカット*9

 

モーヴ本部長が視察のため、ファーマスのACCA本部へと入館するカットです。私見ですが、「ACCA」という作品において、モーヴという女性キャラクターを鮮烈に印象づけた、傑出のシークエンスであると思います。

モーヴ本部長を出迎える人びとの、周章の思いを丁寧に拾った芝居付けは、モーヴという女性が、ACCAという組織でどのような立ち位置にあるかを暗に示していますし、なによりも、モーヴという女性のひとつひとつの挙措がそのまま、自身の性格・地位を明確に表しています。

こうした場面が、違和感なく描かれているのは、偏に澤田氏の力量によるものでしょう。モーヴの腰のアップから始まる歩きのカットや流し目のカットなど、たいへんに見応えがありました。

 

以上とりとめなく取り上げてきましたが、行って損のない展示であることは間違いありません。迷われている方は、是非とも見に行かれますよう。

*1:2017.08.12.現在

*2:ここでは「絵が動くことのおもしろさが感じられるアニメーション」くらいの意味合い。しばしば用いられる「作画的見どころくらいしか見るところのないアニメーション」のような蔑意は全く込めていない。

*3:いつぞやの作スレで見たように思うが、近年に誇る人脈神であることは間違いなさそうである。

*4:個人的には、大ベテランである川尻善昭氏のコンテ回が、ウエットな仕上がりで好みだった。

*5:あえて述べる必要もないように思うが、ジブリの動検として長くジブリ作品を支えてきた舘野仁美氏が開業された同カフェは、パート表記があり、なおかつぱらぱらとめくることのできる原画コピーを主体とした、「作見」を存分に味わうことのできる企画展を次々と企画する、作画ファンのメッカである。

*6:こうした諸工程の持つ価値を否定する発言ではないことは断っておく。むしろ、アニメーションとは総合芸術であるから、ほんらい上流下流問わず全工程の総体として評価すべきものである。しかしながら、仕上げ・撮影処理という工程は、しばしば作画という言葉の意味を解さない、浅見なアニメファンが、作画的評価を下す際の誤った基準となっていることは、諸々の実例によって既に示されているところである。私はこうした傾向を良しと思っていない。

*7:展示ではカット数の表記がされており、本来ならば厳密に特定できたところではあるが、カット番号を控えてくるのを失念してしまった。

*8:この部分を書いていて頭に浮んできたのは、吉成鋼氏の描く髪なびきである。氏の描く髪なびきは、たとえば「秋色恋華」OPに見られるように、執拗なまでに強調されたフォロースルーを特徴とする。

*9:C202-209。